ハイパフォーマンスライフ研究所 岸美帆さまとの対談
2020.01.30 ハイパフォーマンスライフ研究所 岸美帆さま
佐藤:こんにちは。佐藤彰太です。本日は、現在弊社が運営しているスタートアップ支援大学に通われている、ハイパフォーマンスライフ研究所代表の岸美帆さんを招いて、岸さんがどのように事業を成長させたのかという歴史を、実際に対談形式で進めながら、今ごらんいただいているあなたの事業の、何かヒントにつながればという目的で撮影しております。それでは、岸さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
岸:お願いします。
佐藤:実際に今、岸さんは人々の健康支援するような事業をされているということですけれども、具体的にどのような事業をされているのか、改めて岸さんから少しだけお話いただいてもよろしいですか。
岸:はい。私は、心と身体の両方を、自分自身で健康にしていくようなことをお手伝いする仕事をしております。
佐藤:ありがとうございます。岸さんは元々保健師をされていて、起業する前から人々の健康を支援する仕事をされていて、保健師自体は何年ぐらいされていたんですか。
岸:保健師は20年近く。
佐藤:20年近く、いろんな人たちの悩みを聞いてきたわけですよね。
岸:そうですね。
佐藤:とくに多かったのは、どんな悩みだったんですか。
岸:そこの場所によっていろいろだったんですけれども、例えば、最初に行ったところだと、寝たきりの方や、障がいを負って生活をしている方の支援ですとか、そのあとだと、心身障がい者の方ですとか、一番長くいた部署では、検診の結果が悪い方や生活習慣病の方の悩みなどを聞いてきました。
佐藤:なるほど。保健師を20年間されていて、そこから起業されて、元々健康に携わることはしたいなというふうに思われていたんですか。
岸:学生時代に保健師という仕事に出会ったときに、健康ってすごく大事なものだと思って、これは国をあげて、誰もが自然に、システムのように、健康が手に入るような社会にしなければいけないと強く思いまして、それで公務員の保健師をすることにしました。
佐藤:近年、いろいろな健康事業が世の中的にも推進されている中で、岸さんもずっと第三機関に何か力を託すのではなくて、本人が健康になれる力であったり、そういったことを養える、そういった一次を担えればいいという思いで、今、事業されているというふうに伺っているんですけれども、今、実際に会社を立ち上げて、もう何年目ぐらいになりますか。
岸:4年目になります。
佐藤:4年目になるんですね。4年前ということは2016年ですね。元々、起業のきっかけって結構いろいろあるじゃないですか。例えば、反骨心で世の中変えてやるって人もいれば、今の会社に居づらくなったから起業しましたって人もいれば、何かものすごい志を持って起業している人もいますが、岸さん自身はどうでしたか。
岸:直接のきっかけになったのは、東北の地震なんですね。
佐藤:じゃあ、2011年の3月11日。これ実際に、私も出動していて、私、函館で元々ずっと看護師とヘリのレスキューやっていたんですが、そのときに、でもレスキューやってないときって調理なんですよ。そしたら、イカを焼いていたときに、何か揺れて、あれ、二日酔いかなと思ったら地震だったんです。そこから私も、2011年3月11日に緊急出動したんですが、岸さんもあの出来事がきっかけで何か起業を志そうと考えたんですか。
岸:はい。私は当時行政にいたので、ボランティアの受け付けや、問い合わせに対応する電話の当番とかもしていたんですね。保健師なんで、実際に現地に行く人もいたんですが、当時子どもが小さくて、私自身は現地に行くことはできなかったんですけれども、やっぱり同じように何かをしたいんだけれども、どうしたらいいだろうという、ボランティアをしたいっていう人の思いがいっぱいあるんだけど、それが現場に届かないっていうのを見ていまして、それを自分の仕事に置き換えたときに、私は健康になることをお話してきたんですけれども、健康になった先に、自分がやりたいことだったり、自己実現をするというところのサポートができていないなっていうことに気が付きまして、それで今の道を進むことにしました。
佐藤:そうだったんですね。2011年にいろいろあって、そこからもきっといろいろと紆余曲折あって、何か理想はあるんだけど現実があり、理想があるんだけど現実がというのをを繰り返して、時が経ち、満を持して2016年に実際に起業されたということなんですけれども、起業1年目っていろいろあると思いますが、起業したてのころってどんな気持ちだったんですか。
岸:自分のやりたいことに一歩大きな決断をしていたんで、すごくワクワクしていたんですね。
佐藤:ワクワクされていたんですね。不安とかはなく?
岸:不安はなかったですね。なんかもう、絶対私はこれでうまくいくんだぐらいの勢いで。
佐藤:なるほど。結構解放感とかもあったんですか。
岸:それはもう、ありました。
佐藤:もう好きなことをやれるし。
岸:はい。
佐藤:起業はされて1年目はどんな1年目だったんですか。もう最初からうまくいったんですか。
岸:最初はたまたまお客さまを回してくれるというか、なんかしてくれる会社さんがあったので、そこで何とか売り上げは立っていたんです。
佐藤:なるほど。最初は、今のマーケティング的な言語で言えば、ジョイントベンチャーというか、実際に紹介先が1社あって、そこからの紹介で、1年目は経営をできたということですね。当時はご自身で課題とか、1年目に感じていた悩みとか、今振り返れば何かありましたか。
岸:進むことに一生懸命すぎて、悩みもしなかったというか…。
佐藤:もう前に進むだけ。
岸:っていう(笑)。
佐藤:もう来たら反発するみたいな。
岸:はい。
佐藤:そのときも健康商品を販売していて、そこからコーチングですかね。
岸:そうです。コーチングの中で健康のことを取り扱っていた感じですね。
佐藤:なるほど。心と身体の両面をコーチングとしてサポートする。それを紹介のお客さまがあれば、商談をして、販売をして、フォローをしていくということですね。
岸:はい。
佐藤:なるほど。そういう1年目で、とにかく前へ進んでいれば明るい未来が待っているだろうと。
岸:はい。信じていました。
佐藤:それで1年目が終わるわけですが、2年目はどうだったんですか。
岸:2年目になって、そのお仕事いただいているところと契約が切れて、自分で販売していくことになったんですけど、元々公務員だったんで、販売やマーケティング、セールスという概念が、私にはそもそもなかったんです。なので、ホームページとか作って、看板を出せば来るもんだと、固く信じていました。
佐藤:なるほど。でも、よく現代もありますよね。ホームページにものすごい製作コストと期間をかけて、いざリリースしたところ、すぐ来るかなと思ったら全然こないとかありますよね。その当時、まさに岸さんも看板さえ上げれば、人が来るだろうと。結局、来たんですか。
岸:来ないです。公務員時代は健康動画とかこう出せば、結構満員御礼になったので、そんなものだろうって思っていたんですね。
佐藤:市場は大きいですしね。
岸:全然来なかったです。
佐藤:全然来なかったんですね。よくマンガで見る、ヒューッて、家や店の前を落ち葉がヒューッて通るみたいな、あんなイメージですね。
岸:あんな感じですね。「あれ?」って感じでした。
佐藤:それはすごい大変でしたね。焦りとかはあったんですか。
岸:いや。私、成功を信じていたので。
佐藤:成功をね。前に進むだけですかね。
岸:はい。前に進むだけだったので。
佐藤:例えば当時の自分や、同じような境遇の人がいたら、何かアドバイスしたいこととかありますか。
岸:現実見ろよって(笑)。
佐藤:(笑)。前だけではなく。
岸:ちゃんと足元を見て必要なことを学びなさいって言いたいですね。
佐藤:なるほど。例えば、当時、マーケティング、マネジメントセールスとか、商品のことだったら企画作りだったりとか、そういうことをしていれば、やっぱり結果は変わったと思いますか。
岸:全然違ったと思います。
佐藤:やっぱりそうですよね。当時は結構、何かやるという原動力はあったんだけれども、なぜそれをやるのかとか、何のためにそれをしなければいけないのかっていうことが、まさに言語化できてないのが2年目だったっていうことですね。
岸:そうですね。何かわからないまま、とにかくやっていた感じですね。
佐藤:なるほど。それで2年目が過ぎて、3年目はどうだったんですか。
岸:3年目にこちらと、佐藤さんとお会いしたんです。ここでお会いする機会があって、そこで目から鱗が落ちる力を…。
佐藤:でも、どうでしたか。今までモヤモヤしていたものがパシンと見えて、やっぱり、なぜ、何のためにやるのかということがわかってきたら楽しくないですか。
岸:そうですね。まずやることが見えてきたし、自分がどこをやれば次に進めるかという、全体を教えていただいたので、それで自分の弱いところがわかったので、無駄がなくなりました。
佐藤:なるほど。今まではとにかくやればいいということから、生産性を高めるじゃないけれども、今の私の課題はこれだから次はこうやろうとか、そういった戦略の引き出しがすごく増えたというイメージですかね。
岸:ものすごく増えました。
佐藤:やっぱりそれが大切ですよね。
岸:もう今は選べるし、使っている時間をすごく有効に使えているなって感覚もあります。
佐藤:素晴らしいですね。そういうふうに、今まさに世の中的にも、ものすごく変化が著しいですし、知識の対応年数自体もすごく短くなっていますし、今日言っていたことが来年もそうかっていうと、絶対にそんなこともない中で、自分自身がどう対応していかなければいけないのかという力が、今身に付いたということですね。
岸:はい。
佐藤:それは今後、長期的に事業を繁栄させていく上では、非常に大切な力ですよね。
岸:そうですね。これがなかったら多分今はやっていられなかったと思います。
佐藤:そうですよね。なので、結構起業家の中でも、シンデレラストーリーというか、起業して一撃必殺でボーンと売れ上がって、そのあとヒュッヒュッ縮小していってしまう事業とか、あるじゃないですか。それよりも、ずっと小さな成長を続ける企業の方が、どちらかというと経営力としてはすごい優れていると、私は感じるんですけど、やっぱり岸さんもそういう考えですか。
岸:そうですね。以前お会いする前は、多分、私は一発を狙っていたんですね。宝くじ当てるぐらいの勢いで。
佐藤:もう前に突き進んで。
岸:はい。宝くじいっぱい買えば当たるみたいな感じだったんですけど、そうではなくて、コツコツと長く続けること。それから、そのコツコツを改善しながら続けるという仕組みがわかりましたし、コツコツ続けることが何より大事という、そのマインドセットがストンと落ちた感じですね。
佐藤:なるほど。その考えってすごく今大切ですよね。売り手だけがハッピーになるんじゃなくて、売り手も、買い手も、そしてその商品が広まることで、全体的な社会も理想形というか、幸せに近付いていくという商売ができたときに、本当に経営って楽しいなって思いますし、なので、そういった意味では、例えばコツコツと成長と改善を続けながら、みんながハッピーになるようなことを目指していくという経営は、これからの時代、非常に大切ですよね。
岸:そうですね。公務員という大きな組織を辞めて、それで自由に、自分で必要だと思ったことを作れることが、今すごく嬉しいです。
佐藤:そうですね。今は1年目、2年目、3年目を過ぎて、ちょうど4年目に突入して、経営をされているわけですけれども、例えば、今もしかしたらこれから起業しようと思っている人もいれば、2年目、3年目で、ちょっとつまづいちゃってる人もいるかもしれないですし、起業4年目ならではの、今の何か課題というのはありますか。
岸:4年目ならではかどうかは、ちょっとわからないんですけども、やっていく中で、経営していくためには、セールスとマーケティングってすごく重要なところだと思うんですね。その中でも、とくに私は、自分の商品には自信があるんですけども、文章や言葉で、それをちゃんと伝わるように伝えるという力を、これからもつけていきたいと思っています。
佐藤:お客さまに、より必要な人に必要なものが届くように、魅力的に伝える力や根気を今身に付けていきたいということですね。
岸:はい。
佐藤:では、最後に、今これをごらんいただいている方の中で、もしかすると本当に岸さんみたいに燃えて、これから起業志そうという人もいれば、ちょっと起業しようかな。どうしようかなと悩んでいる人もいれば、今起業したんだけれども、ちょっとつまづいてしまっている人とか、そういった様々な起業家の方が見ている番組ですので、ぜひ何かメッセージをお願いできますか。
岸:はい。勉強してから始めてくださいっていうことを強くお伝えしたいなと思います。やり方がわかって動くのと、わからないまま闇雲に動くのとでは、スピードも到達点も全然違うので、ぜひやり方を知ってから動いてください。
佐藤:ありがとうございます。では、本日はどうもありがとうございました。
岸:ありがとうございました。